はじめに
ブログをgithub.ioに移動したら記事を書くのが楽でたのしいので「今年買ったアルバムベスト10」をやろうと思いました。しかし買ったリストを眺めてみるとどうも新作 (その年に発表されたもの) で買ったものは10もなさそうでした。なので縮小してベスト5にします。
でもやっぱり「初聴きアルバムベスト10」にします!!!!
2021年買ったアルバム ベスト10
10. Thrust - Herbie Hancock
物理CDを買いました。いわずとしれたジャズピアニストの巨匠の、ジャズファンク期の作品です。いま聞いてもまったく色褪せないナイスファンクなアルバムです。本来のファンクでギターが鳴らすカッティングのようなフレーズはハービー・ハンコックがエレピとかクラヴィネットとかで鳴らしています。なかなかカッコよいのでおすすめです。
9. Tides - Forever Bones
ほんわかしたアコースティックなサウンドを安いスピーカーから鳴らしたような音づくりで、どこかさびしげなメロディの歌声が聞こえてくる癒やしのアルバムです。こういう音楽を「エレベーターミュージック」というらしく、そう思ってタグを辿ってもなかなか似た感じの音楽には出会えないあたりが音楽のおもしろいところでもあります。もっとこういうの聴きたいところ。
8. Loafy - High Flying
個人的には夏っぽいローファイヒップホイップです。夏の朝のひんやり感あたりを喚起させるクリアな音色がすてきですね。twitterでは「夏を透明なガラスに閉じ込めたみたいだ」とか言ってましたがいま聞いてもそう思います。カフェで読書中にとか睡眠前に流しておくとそのまま寝られるのでオススメです。
7. AcidGelge - Silly Acid
アシッドテクノです。Bandcamp Fridayのときに見つけて買ったやつなんですが、ミニマルなベースのフレーズを緻密に設計されたパラメータの操作によって徐々にブチ上げてくれます。ほんとうに見事なパラメータ操作です。こういう手数最低限で盛り上げるの、ぼくも覚えていきたいですがどうしたらいいのでしょうね。
6. Jóhann Jóhannsson & Yair Elazar Glotman - Last and First Men
映画『最後にして最初の人類』のサウンドトラックです。環境音楽みたいなつくりのアルバムなんですが楽器がアコースティックなためか耳をくすぐる心地良さです。映画館の迫力の音環境で観れたのは得でした。作業用音楽にも入眠ミュージックにも合います。
5. 鈴木慶一 - MOTHER MUSIC REVISITED
初代MOTHERのサウンドトラック (というかボーカルアルバム) を作曲者のひとりである鈴木さんによるセルフカバーです。バンド演奏でかつ (鈴木さんの) ムーンライダーズのテイストであのアルバムを聴けるのは最高ですね。『The Paradise Line』の、バンジョーとブラスセクションがとてもたのしいイントロに続いて元気な歌声がはいるところ、すばらしいです。楽器づかいが聞く側を楽しませてくれるなと思うのは『Flying Man』もとくにそう。ところで『Snow Man』は、MOTHER2のスーファミ原音と見紛うようなすごいモジュレーションの音で、この音作りは2021年でも屈指だと思います。
4. Hydelic - Singularity X
ゲーム『Rez Infinite』のinfiniteな追加ステージ"Area X"の音楽集。『Rez Infinite』のサントラにはディスク2にArea Xの曲がいくつか入ってましたがすべてのパートの曲ではありませんでした。あのサントラには入っていなかった『Child of Eden』的なパートの曲が2曲、それとパート遷移時の音やラスボス前の幕間の曲がトラックとして追加されました。ぼくがサントラの時点で入ってなかったためすごく聞きたかったのは"Two Dreams"なんですが (もちろんすばらしい) 、それよりも度肝を抜かれたのは"Red"でした。"Red"、ゲームでは流れる時間も1分ちょっとで若干単調なまさに中ボスという雰囲気なんですが、この曲の平坦さを残しつつ緩急をつけて聴かせてくるアレンジになっています。長時間流してても飽きないつくりですてきなんです。死ぬまでにちょっとでいいから真似したい音ですね。
3. KILN - Tungsten
こちらは昨年リリースされた"Astral Welder"のときのセッションから発展させたものだそうです。"Astral Welder"と同じKILNさん特有のエレクトロニカですがこのふしぎな風合いの音、どうやって録ってるんでしょうねえ。プリペアドギターを利用していたり、ドラムを激しめにエフェクト掛けてるのだろうなあとまでは思い付くのですが。死ぬまでに真似したい音のひとつではあります。
2. Serph - Psychic Music
最近あまり追いかけていなかったのですが ("vent" → "laccidental tourlist" → "Event Horizon" → "PLUS ULTRA") 、ちょうど最近アルバムが出たというので聞いてみたら進化してました。ちょうど自分のプロジェクトを起こそうと思って曲ができぬできぬしているときに聴いたら、すごすぎて刺激になったと同時に曲のほうはよりできぬになってしまいました。ともあれぼくが特にすきなのは『Optimyst』です。わりと昔のSerphっぽさがありながらも本作のテイストと見事に融合し、突き上げていく展開からは距離を置く低空飛行のメロディが歌いつづけるところが妙に心に刺さるのです。真似できるものなら習得したい要素が多すぎます。
1. Colleen - The Tunnels and The Clearing
前作"A flame my Love, a frequency"でシンセサイザー路線にいったけどさあ今作はというと、もっとエレクトロニック路線になりました。
機材沼勢としては使用機材も気になってしまいますが、今作は古いリズムマシンElka Drummer OneとYAMAHAのオルガンシンセReface YC、そしてmoogのシンセとアナログディレイで作ったそうです。"A flame my love, a frequency"で使ってた、アルペジエータが独特なシンセはCritter & GuitariのSEPTAVOXでしたが、今回はまた新たな機材で、しかもけっこういろいろ揃えてますね。ディレイもRolandのテープエコーの名機RE-201 Space Echoを導入しています。いいなあ。
音楽的にはシンセな路線ながら、シンセや声にかけているディレイの使いぶりが"Captain of None"を思わせますね。いまはスペインにお住まいだそうで、"Gazing at Taurus - Santa Eulalia"はスペインでサンタ・エウラリア大聖堂を見てつくったのかしらと思ったりします。最後のトラックの"Hidden in the Current"はMusic Video
も曲そのものもかなりサイケデリックなつくりになっていて、ディレイづかいには"Captain of None"を感じますが、音そのものはもっと前の、たとえば最初のアルバム"Everyone Alive Wants Answers"あたりのフレーバーを感じずにはいられません。初期のアルバム、思えばどうやってつくってたのか皆目検討つかない奇想天外なサウンドでしたがそのころの名残りとも言えそうです。そういうところに惹かれてしまうのでしょうか。
真似はできないすばらしさ。
まとめ
今年もいい音楽に巡り会えました。とくにKILNさん、Serphさん、Collennさんはひたすらに素晴らしくて次回作が気になってしまうのでした。
余談
"Sonic 30th Anniversary Symphony"がやべえ。こちらの"Open Your Heart"とか"Endless Possibility"とかオススメです。