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「帰れ、鶏肉へ!」 from 『亡命ロシア料理』

料理 レシピ 読書

2021-07-25T23:26:08.415746+09:00

簡単でおいしい鶏肉の料理をつくった話です。

『亡命ロシア料理』を読みはじめました

先日神保町の三省堂書店をふらふらと歩いていたとき、ふと以前から気になっていた本が置かれているのを発見しました。その名も『亡命ロシア料理』。まずは見てください、このなんとも味のある表紙デザイン。

決してモダンということもなく、格式がありちょっと素気ないこの表紙 (このイメージにはロシア料理に対してぼくが持つ印象が投影されているのであしからず……)。た☆ま☆ら☆ん。

この書籍、たぶんツイッターで二年くらい前に話題になっていたのを見て、ほしいなと思いつつ忘れかけていたのでした。内容は、ロシアからアメリカに亡命した著者二名が、祖国ロシアの料理を重厚なのにどこか軽妙な筆致で紹介するエッセイ集です。今回購入したのは新装版ですが、新装版でない初版の発行は1996年とかなり古い本です。昔のことはよく知らないのですが、たびたび話題になるロングセラー本だったようで、じっさい三省堂書店でもロングセラー本コーナーに『ライト、ついてますか』とともに並んでいました。著者紹介によると著者らはロシアで新聞社に勤めていたり文学に関わったりしていたようで、ドストエフスキーらを生んだのはロシアなのだと思わせる、真面目で重厚で、それゆえにむしろコミカルにすら見える文章で料理について書き綴られます。

ここで、出版社のページにある本文の文章をすこし引用してみましょう。

いい料理とは、不定形の自然力に対する体系の闘いである。おたまを持って鍋の前に立つとき、自分が世界の無秩序と闘う兵士の一人だという考えに熱くなれ。料理はある意味では最前線なのだ。

名文です。買うしかない。

そんな本に書かれたある料理をつくってみた、というのが今回の記事の内容です。

「帰れ、鶏肉へ!」

お手元の『新装版 亡命ロシア料理』28ページを開いてみましょう。そこに書かれているのが鶏肉とタマネギを無水調理してできる煮込み料理の章です。ネットでいくつかこの本に関する記事を読むと、章題を以って料理名とすることが多いようなのでここでもそうします。

この章は鶏肉についてのエッセイが75%ほどを占め、料理そのものの占める割合はあまり大きくないです。おいしさを伝えるというよりはむしろ、料理の世界にどっぷり浸りたくなる文章は一読の価値があると思います。

ちなみにネタバレなのですが、この料理、すごくおいしいです。

レシピ

この料理をつくるのはとても簡単です。時間こそかかりますが手間はほとんどかからないので、ひとり暮らしには最適だと思います。

用意するもの (一人分)

ローレルなんてないわ! という方もいらっしゃると思いますが、市販ルーのカレーに入れても味がかわるよいものですのでこれを機会に購入してください。

コショウは、本には「粒胡椒」とあるようにブラックペッパーのホール (砕く前のやつ) にするのをオススメしたいです。噛んだときに口の中に広がるぴりりとした辛味と鼻の奥にただよう芳香の生む風味は「帰れ、鶏肉へ」のスープのコクをひきたてますので。でもそんなのないよーという方は粗挽きのブラックペッパーを使うとよさそうです。

手順

  1. タマネギを半分に切る
  2. 鍋 (大鍋というより、味噌汁をつくるくらいの鍋がいいです) に材料を放りこむ
  3. 弱火 (最弱) の火に鍋をかけ、蓋をし、1時間半放置する
  4. 皿に盛る

結果

これ https://twitter.com/sin_clav/status/1419222084996067329 (煮込み前) が、

こう https://twitter.com/sin_clav/status/1419245703981723649 (盛り付け後) なります。

発展課題

じつは今日つくった分はアレンジとしてエリンギを入れていたり、ニンニクを3片いれていたりします。本にはニンニクだったり、刻んだパセリあるいはパクチーの葉、乾燥したバジルあるいはキャラウェイの実 (キャラウェイシードという名前で売ってます) 、ワイン半カップ等を入れるという選択肢も示されています。

どの一つを加えても新しい料理が生まれる。というのも、オニオン・ソースがスパイスや調味料の追加を積極的に受け入れるからだ。

「帰れ、鶏肉へ!」は新たな料理の種なのではないかしらん……。

感想

『亡命ロシア料理』はいいぞ。

簡単でおいしい鶏肉の料理をつくった話です。

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作成日時: 2021-07-25T23:26:08.415746+09:00

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